甲州印伝の歴史。
そもそも「印伝」というものは「鹿革に漆で模様をつけたもの」です。
小物から財布、バッグまで様々な製品が作られています。
日本における革工芸の歴史は奈良時代までさかのぼり、高麗の革工によってもたらされたとされています。
染料として紫草の根を用いたり、木版を用いて文様をつけていたりしていました。
松ヤニなどを燻し、その煙によって着色をする技法などもあったようです。
また丈夫で、体になじみやすいことから戦国時代には甲冑などの武具にも使われるようになり、小桜や菖蒲、菱などの文様も生まれ、柄としての種類も多くなってきました。
17世紀には南蛮貿易が盛んとなり、来航した外国人によって印度装飾革「応帝亜(インデア)革」が幕府に献上されました。
その華麗な彩色に魅せられて、その後国内にて模したものを「印度伝来」を略して「印伝(いんでん)」よ呼ぶようになりました。
1521年に武田信玄が誕生し、甲州での印伝の歴史が始まりました。
実際に武田信玄が使ったかどうかは、正確に言うと定かではありませんが、甲冑がすっぽりと入る大きさでその丈夫さが大変重宝されていました。
その後、武士や町民の間でも好んで巾着が使われるようになり、広く用いられるようになりました。
1685年の地誌「京羽二重」や十返舎一九の「東海道中膝栗毛」(1802年)の中にも記述があったことから、江戸時代には各地で製造されていたとされています。
また太平洋戦争では、鹿革の通気性の良さから航空燃料の濾過(ろか)に使われるようになりました。
1987年には甲州印伝は、経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定され、現代では生活を彩るこだわりの品として浸透しています。
1500年以上の歴史を持つ「印伝」。
その伝統を受け継ぎながら、現代に合あわせ未だ進化を続けています。
是非、あなたに合ったお気に入りの「印伝」を見つけてください。
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